2023 年4月19日 | 専門のインサイト

クロスチャネルによるシナジー :モバイルとDOOHを掛け合わせるメリットとは

Combining mobile and digital out of home (DOOH) advertising has become a popular strategy for marketers looking to reach their target audience more effectively.

モバイルとDOOHの広告を掛け合わせることで、より効果的にターゲットオーディエンスにリーチする戦略が、マーケティング担当者の間で人気です。モバイル広告が1対1のインタラクションに焦点を当てている一方、DOOH広告は1対多のアプローチを提供しているという違いはありますが、カスタマージャーニーを通じて消費者につながり連続的なメッセージを提供できるというメリットは、両者に共通しています。

今やスマホユーザーは、世界で68億人。広告主は、両者のチャネルをデータに基づき活用することで、キャンペーンの文脈効果を向上させ、より多くのクリエイティブの選択肢を活用し、適切なタイミングで適切なオーディエンスにリーチすることができるのです。 

モバイル広告とDOOH広告を掛け合わせれば、5つのメリットをご紹介します:

1. より精度の高いターゲティングがもたらす、インパクトある成果

DOOH広告の精度および規模とモバイル広告の敏捷性を組み合わせることで、リーチとエンゲージメントの指標が向上し、結果的にコンバージョン率と売上高を増加させることができます。最近、代理店Initiativeによってイタリアで行われたLEGOのキャンペーンで、モバイルとDOOHの掛け合わせにより、実店舗を訪れる顧客増加に成功しました。Hivestack DSPを通じたカスタムオーディエンスターゲティングを活用し、LEGOのDOOH広告に触れた人を再ターゲティングするモバイル広告を組み合わせるという取り組みで、LEGO店舗への訪問数37,000件を達成しました。

2. 一貫したシーケンシャルメッセージングを通じた、ロイヤルティの構築

モバイルとDOOHを掛け合わせるもう一つの大きなメリットは、クロスチャネルリーチです。複数のデジタルチャネルを最適化して、それぞれのユニークな長所を活用し、オーディエンスがオンラインの場合はモバイルで、オフラインで移動している場合は屋外でターゲットできるのです。たとえばプログラマティックDOOH広告では、さまざまな独自データソースから取得したオーディエンスデータを集約することで、カスタムオーディエンスセグメントを作成してオーディエンスの移動パターンを分析し、外出先の顧客をターゲット化すべき時期と場所を正確に把握することができます。実店舗を持つ小売ブランドの場合、地理位置データを活用し、店舗や売り場などのPOI(Point of interest:地図上の特定の地点)のパラメータ設定によってDOOHスクリーンを選択できるため、このアプローチで大きな成果を生み出せる可能性があります。DOOH広告では、キャンペーンのインフライト最適化により、クリエイティブおよびメッセージをより自由にコントロールすることが可能です。さらに、このDOOHキャンペーンデータを活用し、同じ消費者にモバイルで一貫したメッセージを届けたり、同じDOOH広告に接近した消費者をリターゲティングしたりすることで、そうした消費者のブランド認知とロイヤルティを向上させることも可能です。

3. クリエイティビティの可能性を広げる

モバイルとDOOHの融合によって、クリエイティビティを発揮する機会も広がります。アニメーションとサウンドオフ機能は、モバイル広告とDOOH広告の両者で広く普及しており、モバイルエンゲージメントのあるDOOHキャンペーンにはAR(拡張現実)と3D体験をシームレスに統合できます。またDOOHにおけるDCO(Dynamic Creative Optimization:ダイナミッククリエイティブ最適化)の出現により、カギとなる「モーメント」と消費者の心情をリアルタイムかつ充分にくみ取ることが可能となり、人間味があって記憶に残り、また文脈効果のある「消費者とのつながり」を生み出すことができるようになりました。一方、今回のパンデミックにより、世界中のさまざまなマーケットでQRコードが再活躍することになりました。DOOHなどの環境にQRコードを組み込めば、キャンペーンにもう一段階のインタラクティブ性が加わり、ターゲットオーディエンスとの測定可能なタッチポイントが追加できます。消費者はキャンペーンコンテンツに即時かつ簡単にアクセスしたり、スマホにコンテンツを保存することができるため、より個人的なブランドとのつながりが生まれます。こうした革新的なテクニックを活用することで、カスタマーエクスペリエンスを向上させ、持続的なインパクトを保つことができるのです。

4. 多様なオーディエンスデータソース

消費者行動を多角的に捉える視点を持つことは、より総合的なターゲティングを目指すマーケティング担当者にとって、この上ないメリットとなります。モバイルとDOOHを掛け合わせれば、両方のチャネルからインサイトを収集でき、広告効果の測定と最適化のために、より多くの情報をインプットできます。さらにマルチメディアキャンペーンでは、さまざまな層のオーディエンスセグメントを対象にでき、プログラマティック広告の場合は、リアルタイムで再分析を行い、最もパフォーマンスの高いセグメントに対して広告を最適化できます。両方のチャネルからのデータを活用することで、ターゲットオーディエンスや彼らにリーチする方法をよりよく理解し、それに応じてキャンペーンを調整することができるというわけです。こうしたアプローチの一例として、イタリアのOMD Italia、Ask Locala、Henkel Italiaの取り組みが上げられます。モバイルとプログラマティックDOOHを同時活用して結果を組み合わせることで、大型スーパーEsselungaの各店舗への来店顧客をリアルタイムで測定し、最適化することができました。 

5. ソーシャルメディアを活用したアクティベーション

OOH広告とSNSプラットフォームは、お互い自然に協力し合う関係にあります。OOH広告と一緒にポーズをとり、キャンペーンに関連するハッシュタグを使って投稿するインフルエンサーやSNSユーザーが増加し、これら2つのメディアの間に相乗効果が生み出される機会は明らかです。モバイルおよびインタラクティブDOOH広告におけるCTA(Call to action:行動喚起)を活用し、SNS上で体験をシェアする場をユーザーに提供することで、ソーシャルメディアにおけるエンゲージメントを促すキャンペーンが作成できるのです。SNSとDOOHの組み合わせの好例が、日本で実施された「マトリックス レザレクションズ」キャンペーンです。カスタムハッシュタグを使ったファンからのツイートを、LIVE BOARDのプレミアムスクリーンで表示するという取り組みが行われました。

このように、モバイル広告とDOOH広告の組み合わせは、ターゲットに効果的にリーチするための強力な手段です。各チャネルの強みを活用することで、より良い成果を達成し、ブランドの一貫性を強化できるうえ、より多くのクリエイティブオプションから選択できるというメリットも得られます。ふたつのチャネルを掛け合わせれば、ひとつのキャンペーンの中でモバイルデータとDOOHターゲティングを相互活用できる機能と、DOOHによりモバイルのカスタマージャーニーを通じてアクティベーションを実現する機会が組み合わされ、マーケティングに包括的にアプローチし、インパクトのある成果を生み出すことができるのです。